やっと、サラダやチキンを食べ終わった。
はっきり言って、すごく美味しい。
だけど、だけど、あそこまで言われたら!
あのスープが気になって、気になって……!
そして、私は、スープを飲もうとする
「朝日ちゃん~」
遮るような声かけ。
……鈴音の母だ。
「スープ以外のおかず……美味しかったかしら?」
人の良さそうな笑み浮かべ、ニコニコしている。
「ーーはい。とても、とても、美味しかったです。」
そう言うとパァーっとニコニコしていた顔が更に、輝かしい笑顔になる。
嬉しいのだろうか。
「あ、ごめんなさいね。まだ、食事の途中なのに、こんなこと聞いて」
「あー。いえ。大丈夫です。今から飲むスープを楽しみです。」
これは本音だ。
スープへの期待が膨らんでいる。
私の言葉を聞いて、少しだけ、少しだけ。
悲しそうに笑ったのは気のせいだろうか。
「ーそう。……そのスープ。美味しいから。味わって食べてねー!」
会話を終え、やっとスープを飲める。
のどから手が出るほど、このスープを食べてみたかった。
スプーンで、スープを一口。
口の中に染み込ませる。
口の中に味が広がっていく……
あれ?スープってこんな味だっけ?
不安になり、もう一口、もう一口飲んでみる。
おかしい。
ビクッとなり、顔を上げると
(え?……なんで、みんなが私の方を見てるの?)
まるで、何かを見届けるような、これを最初から待っていたような。
「スープは、美味しいかい?」
鈴音の父が尋ねる。
「お、美味しいです。」
そのスープは、不味いとか美味しいとか、そんなものでは無かった。
スープは、スープは、
無味だった。
…………。
もう一口、飲んでみる。
あれ、美味しい。
……気のせい……みたいなもの。だったのかな。
冷や汗は、止まらない。
が、スープが美味しすぎてのどから手が出るほどに欲しい。
そのスープが口の中に広がり、喉を潤し、お腹を満たす。
なぜ、心が痛むのだろうか。
何かが終わりを告げた音が聞こえる。
ーーーーああ、さようなら私。そして…………
ようこそ、不思議な世界へ。
