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罪と世界の過ちを


[side: akina keishi]


日本史が終わった。正直物凄く退屈で、あぁ、今も眠気が引かない。
日本史は苦手だ。誰がどこで死んだとか、何をしたとか、別にどうでもいい。
それに、さかのぼり過ぎだと思う。
弥生時代の稲作がどうだとか、昔のこと過ぎて興味もわかない。

「温故知新と言うだろう。古いと考えることも、いつこの世の中に必要なことに姿を変えるか。」
「ぅわっ、…なに、心読んでるんだよ。学校ではやらない約束だろ?」

気が付けば、目の前で深水が仁王立ちしている。
焦点の合わないまま片付けをしていたせいか、深水が近づいてきたことに気が付かなかった。
声に出していないことを言い当てるのはやめてほしい。

そもそも、深水が中心となって決めた、マスター(つまり、悪魔たちの主人)間のルールであるはずなのに。

「馬鹿が。僕がそう戯けじみたミスをすると思うのか?」

深水は、片眉を上げて見せる。どうやら呆れているらしい。

「声に、出ていたぞ。この間抜け。」
「っ、嘘、マジか。全然気づかなかっ……、間抜けは余計だろ!注意してくれるだけでいいよ!!」

ずい、と鼻先が触れ合いそうなほど急に顔を近づけられる。
続けてふふんと笑って罵倒されたものだから、こっちもつい黙ってはいられなくなった。

深水はいつも、上から目線に俺のことを馬鹿にしてくる。
それでもどうしても憎めないのは、彼の物事に対する真っ直ぐな姿勢を見ているからだろうか。

「行くぞ。昼食だ。」
「今行くからって。」

南側の天窓から、線となって光が差し込んでいる。
それがいくつか連続してならび、廊下を照らしては、その中を和気藹々と生徒が笑いあう。

綺麗だなぁ、と、毎日俺は思う。純粋に、美しい光景だと思うのだ。

「あ。秋名ー、深水ー。」

不意に、後ろから自分たちを呼ぶ声が聞こえ、足が留まる。

少しの人混みが晴れると、外はねした金髪の男が手を振っている。濃紺の髪に長身の男も一緒だ。

小走りになって、その二人の前に立つ。

「ごめんねー、呼び止めちゃって。」
「いや、構わない。どうしたんだ、携帯で連絡をよこさないなんて。」

深水が先輩の言葉に応答する。
それに、いやいや、と先輩は首を振る。

「携帯使おうと思ったんだけど、すぐそこにいたのが見えたんだ。それだけさ。ちょっと連絡があるんだよね、旧校舎の東階段でご飯食べない?」
「午後は何が入ってる?」
「ドイツ語と化学です。でもまぁ……」
「幻術使えば何とかなるもんねぇ。」

彼ら二人は、この錠賀第一学園の6年生。
無論この二人も、悪魔を従えるマスターで俺たちの同胞だ。

よく喋る、外はねした金髪の持ち主は、木丈院 勅(きじょういん かすみ)さん。
苗字と、深水との会話からわかるように、深水の実の兄である。
よく口の回る賢い人物で、頭の良さは深水以上だと聞く。
女子生徒から絶大な人気を誇る美貌を持つこの男は、七兄弟 三男、嫉妬の悪魔のマスターである。

長身で漆塗りのような濃紺の髪を持つ男の人。
こちらは、…えーっと、或斗・ミドルアーサー・唐島(あると・みどるあーさー・からしま)さん。
名前が長いのは、お父さんがオーストリア人だったからだという。
本人も面倒がって、唐島或斗でいい、とよく言うが、結構格好いいと思うんだよな。
両親が二人とも音楽家だということもあってか、彼は単独コンサートを行うほど腕の立つピアニスト。
現在は、七兄弟 五男の強欲のマスター。なぜか、悪魔ではなく彼が馬鹿みたいに強い。

「じゃ、職員室全体に幻術かけてくぞ。」
「やだなぁ、或斗ったら大胆ー。」
「んだよ、じゃあどうすんだ。」
「まー、それしかないんだけどねぇ。」
「おちょくんな、殺すぞ。」
「先輩方!!!」

すぐに口車に乗ってしまう或斗さんと、それをわかって挑発する勅さん。

息が合っていないように見えて、息が合っている二人といると、こちらも突っ込みが追い付かない。

赤間 生吹  (あかま いぶき)

BARを営む21歳。暴食とは正反対に、拒食症持ち。
フォーラー(使魔)は、喰。

身長180cm。
色白で、酷くやせ形。艶のある黒髪と、蜜紺色の切れ長の瞳を持つ。
元々15歳の時から現在の店でバイトをしていたが、尊敬していた店主が急死。店を継ぐことになり、喰も譲り受けた。
処方箋と酒で命をつないでいるため、体の状態は過度に良くない。
<2017/04/20 18:58 蔵木 りやうた>消しゴム
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