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鏡の国と薔薇の姫
- 出会い、驚き、花の姫。 -

―「…君は、だあれ?」

俺はその時初めて恋をした。初めて、人に興味を持った。真っ赤な髪を、暖かな春風になびかせこちらを見るその彼女に俺ば゙恋゙゙をしました。

―「戻ったぞー。」
そんな無機質な自分の声が城中に響く。もちろん出て来る者、「おかえり」なんて返すものもいない。親は視察かなんかでどこかへ出かけているらしい。真っ白な髪の毛を上にあげ、ため息をつく。思い出したのは昼間の出来事。いつものようにお気に入りのお花畑へ出かけたとき、見慣れない少女が目に入った。彼女は花を摘んでいたのか、両手にはたくさんの薔薇。赤、黄色、白。色々な色の薔薇を持っていた。彼女は陶器のように透き通った肌。目はルビーのように真っ赤で、輝いている。そんな彼女は自分を見るなり、くりっとした目をぱちくりさせて首をかしげる。そんな姿に一瞬後ずさりしてしまうが、すぐに気を取り戻したようでこちらも首をかしげる。

少女「…君は、だあれ?」

ふと投げかけられた質問。すぐに答えを返すことは出来なかった。はっとしたときにはこちらを見る彼女の眉は下がっていた。あわや泣きそうになるところで、自己紹介を始める。

鏡「俺は鏡。ここの近くの城の王子だ…。そういうお前は誰だ?」
少女「私は花淡っ」

にこにこ笑いながら答える彼女に少し戸惑うも、笑みを浮かべてくれてよかった。花淡と名乗る彼女は摘んだ花を両手に抱えてこちらへ近づいてくる。正面まで来ると、一輪の真っ赤な薔薇を鏡の顔の前まで差し出して、それを手に取るとすぐに横を通り過ぎ、帰ってしまった。不思議な出来事だったと、ボーっとしながらその場に座ると、もらった薔薇をまじまじ見つめる。いい匂いのする花。それを胸元のポケットにしまい、その場を後にした。

これからあんな出来事が起こるとも知らずに、ゆっくりその場を去った。

<2016/12/27 14:10 双葉>消しゴム
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