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浅葱色の華
- 第十五話 瞳 -





「……ちゃん。桃華ちゃーん?起きてー。」
「ふぁっ!?」
一気に目が覚めた。
「り、凛君!?」
いたずらっ子のように笑いながら私を覗き込んでいる凛君。
つんつん私のほおをつついて、また楽しそうに笑った。
「桃華ちゃん、お昼寝?もうすぐ夕餉の時間だよ。」
「もうそんな時間…?」
ついうとうとしちゃった。
目をこすりながらゆっくり起き上がる。
「…?どうしたの、凛君?」
驚いたように目も口も見開いている凛君にそっと声をかけると、凛君は小さな声で何か言った。……のかな?
「何?」
「桃華ちゃん……目の色が…!」
「え?」
言われるままに外へ出て、井戸で水を組み上げる。
そこに顔を写せば、確かに薄茶色の瞳が桃色になっていた。
………桃色に、なっていた?
「……………きゃあぁぁぁぁぁぁ!?!?」
私の叫びは、屯所中に響いていきましたあ……。



「何事ですか桃華様ァ!!」
「どうしたんだい桃華!」
「って誠一郎様!?!?ご無沙汰しております!!」
「うん久しぶり!」
「「……で、何があったんだい(んですか)桃華(様)!!!」」
落ち着いてください。
私の叫び声に誰よりも反応したらしい二人は、ズザァァァァと砂埃を立てながら私の前に滑り込んできた。
おかげでなのか私は冷静になる。
「…あれ、八十治も目の色が…」
「え?…あれ、桃華様…?」
流れる沈黙。
「まって八十治は赤くなってるぅぅ!!」
「桃華様の瞳が桃色にぃぃ!?」
「うるせぇぇぇえぇえ!!!!」
再び大声をあげた私たちに、ついに雷が落ちてきた。
「てめぇらるっせんだよ!仕事に集中できねぇだろうが!!」
土方さんだ。いや察した方もいるだろうけれど。
「へ、平助!?何故目の色が藤色になってるんだ!」
「…え、きゃぁぁぁぁぁああ!!」
と、向こうからも何か聞こえてくる。
私たちは、ついその音がする方へ耳を傾けた。
……近づいてくる。
「副長!平助の目が……………あれ?」
「土方さーん!僕の目が…………あれ?」
意外とこの二人も似ているかもしれない。
二人は息の合った動きでこちらをひょこっと覗くと、そのまま同じ角度に首を傾げた。
「………平助さんもですか?」
「ありゃ、桃華ちゃんと八十治君もですか?」
そう聞く平助さんの瞳は澄んだ藤色で、つい見惚れてしまう。
そんな私をよそに、八十治と土方さんは揃って頭をかかえた。
「「何でこんなことに…………おいてめぇ(貴様)何俺と被ってんだよ一回黙れよ!!…ってこれも被ってるじゃないかてめぇ(貴様)が黙れよ!!」」
本当仲がいいなあ。
「でもまあ、理由とか原因は探した方が良いんじゃないですか?
三人は何か違うことに気づいたり…例えばいつもより視界が悪いとか、あります?」
凛君が二人を押しのけるように聞いてきたけれど、今のところそういった感じはない。
三人揃って首を横に降る。
「…………特に支障がないのなら平気じゃないですか?」
ボクは考えるのをやめた。
そんな呟きが聞こえてきた気がしました。
「どうしましょう……目立ちますよね。」
「そうだな、結構……」
斎藤さんはじっと私たちを見つめる。
…少しの間があった後、ハッと顔をあげた。
「包帯を巻くのはどうだ?」
「「「つまり僕(私)(俺)の目を見えないようにすると?」」」
「あっ……」
斎藤さんて、どこか抜けてる。本当に気づいていなかったようだ。
凛君なんか後ろを向いて肩を震わせている。
「せめて片目なら隠せたよね。いっそ前髪伸ばして隠す?そこまで視界は悪くならないよ。」
誠一郎さんの言葉に、呆れた声を出したのは平助さん。
「誠一郎君、それは流石に時間がかかりすぎますよ。一君の天然が移ってきてません?」
「なっ…」
「いや兄さまその反応は失礼です。」
ほらもう斎藤さんいじけはじめちゃった。
どよん…とした空気を出しながら隅の方でのの字を書きはじめた斎藤さんに、兄さまは慌てて駆け寄る。
「申し訳ありません斎藤組長!」
「おい麻木……組長に何をしたんだ?」
「あっ……ご、伍長……!」
「林さん!」
流石三番組伍長林さん。
斎藤さんの何かを察したのか、音もなく現れて兄さまに詰め寄っている。
「…これ九割がた平助が悪いよな。」
「……………ほう…」
「ひっ…!」
あ、標的が平助さんになった。
「ただ僕は一君って天然ですよねっていう感じのことを言っただけですよぉ。」
「…因みに斎藤組長が気にしてることは何でしたっけ?」
「…て、天然………」
すごい、平助さんがあんなに怖がってるの初めてかもしれない。
空気と化した私たちはぽかんと二人を見つめる。
じり、じりと後退りしていた平助さんは、ついに壁にぶつかってしまった。
………爽やかな青空、兄さまが掃除した綺麗な建物…その間を。
「いやいやいや、ちょっと待ってくださいなんか間違えたというか流れでというかあっやめっその手は…ひゃあっひっ…みぎゃぁぁぁぁぁあぁぁぁ!!!」
平助さんの悲鳴が流れていきました…。
……平助さん、脇をくすぐられるの苦手なんだ。覚えておこう。

浅葱色の華、閲覧者数が200人突破しました!!どうしようすごく嬉しい!ありがとうございます!これからもよろしくお願いしますっ!!

………さて、今回は久しぶりの林さん登場回です。忘れていたとかそんなわけではありませぬ。
<2017/05/09 22:34 水瀬 玲>消しゴム
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