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浅葱色の華
- 第二十二話 秘密…? -





「ち、違うの凛君!兄さまは従兄弟で……私の本当の兄弟は二人だよ!」
「…え?」
「…え?」
「…………え?」
私の一言で凍りついた凛君…はともかく、八十八さんに、私まで凍りついてしまう。
「……言ってませんでしたっけ……?」
「ああ…」
よ、余計な一言だった……!!!!


と、いうわけで麻木桃華です。
つい先ほど余計な一言を放ってしまった私ですが、皆さんならどうしますか?きちんと話す?誤魔化す?逃げる?
本当、言葉って大事ですよね…!ああもう私何言ってるんだろう…!
「…と、とりあえず…あそこで話しませんか?」
慌てた私が指し示した場所は、ちょっと向こうにある丘…のようなもの。
二人は顔を見合わせてから、小さく頷いた。




「へえ、こんなところがあるんですね。ボク、知らなかったなあ。」
「前に平助さんに教えてもらったんです。…あまり、来てはいなかったんですが。」
「とにかく、ここなら人気もない。
で、本当の兄弟が二人…っていうのは何だ?誠一郎からはお前は一人っ子だと聞いたのだが。」
八十八さんがこちらを見据える。
思わず縮こまってしまったのは、きゅっとしわが寄った眉間のせいだろう。
「…えっと……」
「確か、八十治さんは桃華ちゃんの弟でしたよね。そんなことを言っていたような…」
「八十治が?麻木のお付きじゃないのか?」
驚いた風に言う八十八さん。
その隣で、凛君も驚いた顔をしていた。
「あの時の、嘘じゃなかったんだ…」
「嘘じゃないよ!」
何でそこで嘘を吐く必要があるのか。
「まあ、そっくりだもんね。」
「そっくりと言うなら……一ノ瀬。お前、斎藤組長と似ていないか?」
八十八さんの言葉に、凛君はふと表情を暗くさせる。
何か事情があるのかな?
「あー…。兄弟だとか、親戚とかでは無い…と思いますよ。」
「と、思う?」
「……もうこの際言っちゃいますけどね!!」
急に吹っ切れたように顔を上げ、凛君はキッとこちらを向いた。
あまりの勢いに、私たちは少し後ずさる。
「ボクはこの時代の人間じゃないんですよ!!」
ないんですよ!!
ないんですよ!
ないんですよ
ないんですよ…
ないんですよ………
と、辺りに響いた声。
遅れて、私たちはぽかんと口を開いた。
「「………………はあ?」」
まさか、八十八さんと息が合うなんてことがあるとは思いませんでした、はい…。



「この時代じゃ……ない?どういうこと?」
急に静かになった空気を破るように言うと、凛君は「まあそうなるよね」と苦笑する。
「簡単に言うと、ボクにとってこの時代は過去なんだ。それも、150年…くらい前。
ボクは、2016年の…平成の世からきた。何でかとかはわからないけど。」
2016年…………想像が全くできない。
どんな世の中なんだろう。
幕府はどうなったのかな。新選組はあるのかな。だとしたら、どんな人が幹部さんなんだろう。
つい、色々と考えてしまう。
「……あれ、聞かないの?」
「え?」
「未来のこととか。たいていこういう時って聞くものだと思ってた。」
「聞かないよ。」
きっぱりと言うと、凛君は不思議そうに首をかしげた。
「だって、私が少し昔の人に今がどんな世の中かって言われたら、困っちゃうもの。」
おそらくしどろもどろでよくわからない説明になってしまうだろう。
だから、私も聞かない。…正直、少し気になるけれど。
凛君はそんな私を見てか、少ししてから小さく笑った。
「桃華ちゃんらしいや。」
「どういう意味?」
「どういう意味だろうねー。」
はぐらかす凛君がとても楽しげで、私まで笑ってしまう。
……あ。
つい凛君とばかり話していたけれど、隣には…。
そっと右隣を伺うと。
「…」
案の定むぷう、とほおを膨らませた八十八さんが見えた。
どうでも良いかもしれないけれど、とてもかわいい。
「………一ノ瀬。」
「…何ですか?」
「それで、斎藤組長とはどんな関係だと?」
八十八さんの言葉に、凛君は少し考えるようなそぶりを見せる。
「そうですね、あくまで憶測ですが……ボクの前世なんじゃないかと思ってます。」
「前世?」
確かに、時代のことを考えるとそれが一番可能性が高い。
前世、か…。
自分の前世がわかるって、どんな気持ちなんだろうな。


「そういえば凛君、新選組はどうなるかも…知ってるの?」
帰り際、つい気になって放った言葉に、凛君はふと立ち止まった。
その後、ゆっくりと振り返る。
その顔は、酷く悲しげで、苦しそうで。
「……知っているよ。でも、話せない。」
この声までもが、切ない響きをしていた。
それほどまでに、酷い未来なのか。
何故だかわからないけれど、私の胸まで痛くなる。
「…そっか。」
小さく呟いた言葉は、聞こえただろうか。



「一ノ瀬。」
「………はい。」
「お前の事情はある程度理解した。が、俺はまだ認めてないからな。」
「……わかってますよ。」
山野が耳元で囁いた言葉に、一ノ瀬はそっと頷いた。
それには気づかず先の方で不思議そうに振り返る桃華を、山野は小走りで追いかける。
そんな二人を見送ってから、そういえばと一ノ瀬は顎に手をやった。
「…桃華ちゃんのもう一人の兄弟って、誰なんだろう。」
ーーーーーー調べちゃおうかな、なんて。


凛君は16歳です(`・ω・´)
<2017/07/22 11:26 水瀬 玲>消しゴム
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