「莉央、部活決まった?」
帰り支度を済ませた彩が聞いてくる。部活…か。彩に相談してみようかな。
「彩。あのね、私ね…」
どうしよう、声が出ない。彼女がそういう事をする人ではないとわかっているけど、心のどこかで疑っている自分がいて、言い出せない。心配そうな顔をしていた彩は、何を思ったか急に私の手を引いて走り出した。
「ちょっと待って彩。どこ行くの?」
抵抗してみても、元陸上部キャプテンの彼女に勝てるはずもなく、引きずられるようにして私も走る。途中から楽しげな音楽が聞こえ始め、次第に大きくなっていく。ただ、息もきれぎれで走っている私はその場所が今、自分が向かっている所だと気がつくまでに時間がかかった。目的地がわかった瞬間、私は全力で抵抗した。しかし、文化部希望基本インドア派の私の必死の抵抗は無意味に等しく、半ば強引に中へと連れ込まれた。
第一音楽室。そう書かれたプレートを見た気がする。けれどもうそんなのどうでもいい。彼に会わないうちに早く帰りたい、その一心だ。私の手を引いてずんずん奥に進んで行く彼女を強引に引き止め、小声で話しかける。
「 あのさ、彩。私、帰ってもいいかな。」
彩は一瞬驚いたような顔をして、でもすぐにニヤリと笑って
「 何、莉央。愛しの蒼先輩に会いたくて吹奏に入りたいんじゃなかったの?」
と耳元で囁く。周りに気付かれないようにそっと頷く。確かに私は幼馴染で一つ上の蒼のことが好き。でも何故か今は会いたくない。入学式で演奏している姿を見て今まで以上に好きだって思えるようになった。3日前、クラスの男子を振ったばかりだからか、それとも会ってしまえば最後、何があっても諦められない気がするからか分からない。いや、きっと後者だ。
帰り支度を済ませた彩が聞いてくる。部活…か。彩に相談してみようかな。
「彩。あのね、私ね…」
どうしよう、声が出ない。彼女がそういう事をする人ではないとわかっているけど、心のどこかで疑っている自分がいて、言い出せない。心配そうな顔をしていた彩は、何を思ったか急に私の手を引いて走り出した。
「ちょっと待って彩。どこ行くの?」
抵抗してみても、元陸上部キャプテンの彼女に勝てるはずもなく、引きずられるようにして私も走る。途中から楽しげな音楽が聞こえ始め、次第に大きくなっていく。ただ、息もきれぎれで走っている私はその場所が今、自分が向かっている所だと気がつくまでに時間がかかった。目的地がわかった瞬間、私は全力で抵抗した。しかし、文化部希望基本インドア派の私の必死の抵抗は無意味に等しく、半ば強引に中へと連れ込まれた。
第一音楽室。そう書かれたプレートを見た気がする。けれどもうそんなのどうでもいい。彼に会わないうちに早く帰りたい、その一心だ。私の手を引いてずんずん奥に進んで行く彼女を強引に引き止め、小声で話しかける。
「 あのさ、彩。私、帰ってもいいかな。」
彩は一瞬驚いたような顔をして、でもすぐにニヤリと笑って
「 何、莉央。愛しの蒼先輩に会いたくて吹奏に入りたいんじゃなかったの?」
と耳元で囁く。周りに気付かれないようにそっと頷く。確かに私は幼馴染で一つ上の蒼のことが好き。でも何故か今は会いたくない。入学式で演奏している姿を見て今まで以上に好きだって思えるようになった。3日前、クラスの男子を振ったばかりだからか、それとも会ってしまえば最後、何があっても諦められない気がするからか分からない。いや、きっと後者だ。
