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幼馴染ときどき先輩。


夕焼けに染まる田舎道、蒼の後ろをゆっくり歩いていた。最初は手を掴まれていることに緊張して上手く話せなかったが。でも、次第に慣れてくると新しいクラスのことや友達のこと、晩御飯のことなど、今までの緊張が嘘のように沢山話をした。本当に楽しかった。しばらくすると、グラウンドのテニスコート付近を歩いていた。部活が終わったところらしく、どこの部活も帰り支度を始めていた。
突然、蒼の足が止まった。
「夏…せ……ぱぃ…」
ところどころしか聞き取れなかったが確かに『夏海先輩』と、なんとも言えない声で呟いた。彼につられて私も同じ方向を見ると、見覚えのある人がいた。
女子テニス部キャプテン、河岸夏海先輩。何度か蒼とふたりでいるのを見たことがあり、初日に行った体験では少しばかり話をした。彼女の隣には野球部のキャプテン、桐羽田蓮真先輩の姿があった。どこから見ても彼氏彼女にしか見えないくらいのいちゃつきようで、周囲に見せつけるかのように手を繋いでいる。蒼の姿に気が付いた彼女は、よそよそしくこちらに手を振ってくる。蒼はというと、私の手を放し、口をあんぐり開けたまま、だらしなく手を垂らしていた。その顔は、どこか悲しげで、でも悟られまいと必死で、私は見ていられなかった。彼の鞄を拾い、込み上げてくるものを押さえ込んで、走った。彼のだらしなく下がった手を繋いで、できるだけ早くその場から蒼を連れ出したい一心で。知らない道を、ただひたすら走った。

大好きな人には好きな人がいて、その人には彼氏がいた…
蒼にしても莉央にしても、何よりつらい状況に出くわしてしまいました。
大好きな人に対する想いを動力に変える、莉央の健気さ。切なさで心が折れそうな作者です。

次は蒼の立場からお届けします!!!蒼と莉央の中学生とは思えない心の葛藤の物語、
どうか最後までお付き合いください。

<2017/01/04 14:33 美柑>消しゴム
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