午後からしとしと、と雨が降り始めた。今日も…ダメかな。深い溜息をついて立ち上がる。5時間目は移動教室のため、そろそろ移動しないと遅れてしまう。第二音楽室は別棟にあるため、他の教室移動と比べて倍近くの時間を要するからだ。
「彩…そろそろ行こう。」
二つ挟んで右側の列にいる彼女に話しかける。暗さを押し殺すような明るさで振る舞わなければ、勘のいい彩のことだ。何があったのかすぐに見透かされてしまう。
「 そうだね、ありがとう莉央。ところで……」
浅く笑って、彼女が声をひそめる。一瞬ギクリとしてしまったが、すぐに素知らぬ顔で小首を傾げる。彼女はさらに声を潜めて、
「だから、夏海先輩に本当のこと聞くんでしょう?どうなったの?」
と問いただす。実名を出されてはしらばっくれられないので、素直に答える。彼女には、告白のことについて詳しく話していない。その分、相談した内容に関しては答えなければならない。静かに教室のドアを開け、中に入る。
「うん…今日、残って待ってみるつもり。」
それだけ答えると、各々自分の席に着いた。すぐに先生が来て、授業が始まる。テストに関する大事な部分らしいが、放課後が気になって聞いていなかった。
あっという間に放課後になった。不規則に脈打つ鼓動を抑えて、三年生の下駄箱の外で立っていた。受験生の先輩方は遅くまで残って図書館で勉強したり、先生に質問したりするため、早くに帰る人は少ない。ただ、"彼女"は例外だった。
「仲里莉央ちゃん、どうしたの?誰待っているの?」
声の主、河岸夏海先輩だ。彼女のほんわかとした笑顔の中に、どこか危機感を感じた。
「 夏海先輩を待ってました…。少し、時間もらってもいいですか?」
焦りを隠すように、早口で尋ねた。頷いて、下履に履き替える先輩を横目に、私はゆっくり歩き出した。
「彩…そろそろ行こう。」
二つ挟んで右側の列にいる彼女に話しかける。暗さを押し殺すような明るさで振る舞わなければ、勘のいい彩のことだ。何があったのかすぐに見透かされてしまう。
「 そうだね、ありがとう莉央。ところで……」
浅く笑って、彼女が声をひそめる。一瞬ギクリとしてしまったが、すぐに素知らぬ顔で小首を傾げる。彼女はさらに声を潜めて、
「だから、夏海先輩に本当のこと聞くんでしょう?どうなったの?」
と問いただす。実名を出されてはしらばっくれられないので、素直に答える。彼女には、告白のことについて詳しく話していない。その分、相談した内容に関しては答えなければならない。静かに教室のドアを開け、中に入る。
「うん…今日、残って待ってみるつもり。」
それだけ答えると、各々自分の席に着いた。すぐに先生が来て、授業が始まる。テストに関する大事な部分らしいが、放課後が気になって聞いていなかった。
あっという間に放課後になった。不規則に脈打つ鼓動を抑えて、三年生の下駄箱の外で立っていた。受験生の先輩方は遅くまで残って図書館で勉強したり、先生に質問したりするため、早くに帰る人は少ない。ただ、"彼女"は例外だった。
「仲里莉央ちゃん、どうしたの?誰待っているの?」
声の主、河岸夏海先輩だ。彼女のほんわかとした笑顔の中に、どこか危機感を感じた。
「 夏海先輩を待ってました…。少し、時間もらってもいいですか?」
焦りを隠すように、早口で尋ねた。頷いて、下履に履き替える先輩を横目に、私はゆっくり歩き出した。
