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煌龍~最終戦争~


秋の空は、どんよりと曇っていた。
そう、龍次の気分を代弁するような、曇り空。
元は隠れた研究所であったその場所は、あの夜に、灰と化した。
激しい爆発により、丈夫そうな分厚い壁は割れ、崩れかけている。それ以外は……全て、灰。
警察や消防隊、救助隊が忙しく出入りしている。
本来なら、ここは立ち入り禁止の場所である。
しかし、影の薄さが自慢の龍次にとっては、関係のないことである。
ぼんやりと、昨晩のことを思い出す。
この建物は、龍次の一番信用していた人物を入れたまま、大爆発を起こした。
ーーなんであいつが。
「こんにちは」
突然、肩を叩かれた。
知らない男だった。警察の制服を着た、細目の男性だった。
「もしかして、伊達龍次さん?」
「そうだが」
否定せずに、相手の様子を伺う。
しかしその男は、手錠を取り出すことも、龍次を追い出すこともなかった。ただただ笑顔で、龍次を見上げている。
「そうか。それじゃ、煌堂さん探しですか」
「まぁ、そうだなぁ」
思わず、言いよどんだ。
龍次も、彼が生きているか、そうだとしたらどこにいるのか、全くわからないのだ。
「……彼は、生きていると思いますか」
男は、そんなことを訊いてきた。
龍次は少し目を丸くし、奴を見た。
奴はにっこり笑い、言った。
「申し遅れてごめんなさい。わたしは、加藤といいます。警察ですが、捕まえはしないので、どうぞご安心を」
「なんで捕まえないんだ」
「なんでって……知りたいからですよ」
加藤はちょっと首をかしげて、そう言った。
「昨晩何が起きたのか、知りたいからですよ」
龍次は、詳しく聞かなかった。
ただ、「そうか」と言っただけであった。

「何が起こったのか、教えてくれませんか」

加藤が、すがるようにそう頼んだ。

<2016/06/13 08:46 三日月兎>消しゴム
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