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目が何も映さなくなった話
- 相反する道故に -

「カハッ……」

彼は乾いた笑いを溢した。
彼は痩せる、というより空気より軽い気がするほどボロボロだった。

「・・・・あぁ」

黄色い彼の瞳はもう何も映してはいない。

彼の体を抱き締めた。
恐らく彼は独りで居すぎてしまって、
愛されることも、愛することも。
こうして抱かれることも。
誰かの体温や温もりさえ知らないだろう。

ただ、生きていたかった
こんなにも簡単な願い事がこの蛇には
重すぎたのだ。

願い事を叶える蛇として。
孤独に耐え、恐怖と絶望の中。
かつての主に裏切られ、
仲間の蛇にさえ裏切られ。

誰にも知られず救われず、
泣くことさえ知らない黒蛇の彼の運命は、悪戯に純粋で残酷だ。

<2016/07/07 21:19 チョコレート★>消しゴム
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